中小企業の生産性を高めるRPAとは?仕組みと導入準備をわかりやすく解説【前編】

RPAとは何なのか?

RPA(Robotic Process Automation)とは、人がPC上で行っている定型的な操作をソフトウェアロボットに自動で代行させる技術です。
たとえば、Excelへの転記作業、メールの送受信、Webシステムへのデータ入力など、決まった手順を繰り返す業務に強みを持っています。特徴として、従来のシステム開発とは異なり、既存の業務フローを変更せずに導入できる点が挙げられます。
既存のアプリケーションやWebサービスを人間の代わりに操作するため、大がかりなIT投資を必要とせず、すぐに効果を実感しやすいのも大きな魅力です。

なぜ今、RPAが必要なのか?

人手不足、生産性の停滞、属人化された業務。
こうした課題は多くの企業、特に中小企業において深刻化しています。
限られた人材で日々の業務を回す中、繰り返し作業や単純な事務処理に多くの時間が費やされ、本来注力すべき「価値を生む仕事」にリソースを割けていない――そんな現場の声をよく耳にします。

そこで注目されているのが RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション) です。
人間が手作業で行っていたルーチン業務をソフトウェアロボットに代替させることで、ミスの削減・業務時間の短縮・コスト削減 など、さまざまな効果が期待できます。

RPAは単なるITツールではありません。
「業務そのものの在り方」を見直すきっかけとなる、経営改善のための武器でもあるのです。

具体例:ホテル業務の自動化イメージ

競合がひしめく地域でホテルを営む企業を想像してみましょう。
マーケティング担当の大谷さんは、日々周辺ホテルの価格をチェックし、自社の部屋の価格を設定しています。
しかし、多数のOTA(予約サイト)に登録しているため、すべての価格チェックは困難で、普段は楽天トラベルのみ確認しています。

この業務をRPAで自動化すると、たとえば次のような指示が可能になります。

「楽天トラベル上で当社周辺ホテルの価格を毎日9時にチェックし、当社より安い価格があれば、そのホテルの情報を表にまとめて私にメールして」

これを図式化すると以下のようになります。

この処理は、「処理」「判断」「繰り返し」という基本的な構造に分解でき、RPAはこれらを定義することで、自動的に業務を遂行できるのです。

RPAは従来のプログラムやマクロと何が違うのか?

プログラミング経験のある方なら、「Excelマクロ(VBA)」との違いを気にするかもしれません。
主な違いは以下の通りです。

  • ノーコードで作成できる
    プログラミング言語では変数の型や定義などの知識が必要でしたが、多くのRPAツールはノーコード対応しており、複雑な記述が不要です。
  • アプリケーションを横断できる
    従来のマクロはExcel内の作業に限定されていましたが、RPAはExcelだけでなく、ブラウザ、社内システム、メールソフトなどさまざまなアプリケーションを横断して操作できます。

アプリケーションを操作する方法は2種類あります。
1つはAPI(サービス窓口)を通じて、裏側から直接アクセスする方法。これは例えるなら、関係者専用の裏口から担当部署へ直接依頼するイメージです。高速・安定・正確ですが、窓口(API)が用意されていないシステムには使えません。

もう1つは画面操作による方法です。これは、一般のお客様が受付カウンターに並び、手書き申込書を提出して手続きを行うようなもの。裏側には直接アクセスできませんが、画面上に見える操作を忠実に再現することで業務を自動化できます。

RPAは、この両方を使い分けることで、あらゆる業務プロセスを柔軟に自動化できるのです。

  • イベントドリブン・スケジュールドリブンに対応
    「ファイルがアップロードされたら処理を開始する」や「毎日9時に実行する」といったトリガー設定も可能です。

どのような製品があるのか?

この分野のプロダクトについては、以下のサイトが非常に参考になります。

 👉 ITreview – RPA製品一覧

現在、国内外問わず多くのRPA製品がリリースされており、単純な比較が難しい状況です。
しかし、機能や運用スタイルなど、機能的な観点で整理すると、添付の分類表のようにいくつかの軸で分類できます。

自分が自動化したい業務は何か?
必要な機能は何か?
操作対象や運用スタイルに応じて、
いくつかの製品を比較検討し、自分に最適なツールを選びましょう

次回予告

次回は、いよいよ実践編に入ります!
具体的に、無料ツールであるMicrosoftの「Power Automate」を使って
簡単な業務プロセスを自動化する流れを実際に作成してみます。
これらをハンズオン形式でわかりやすく解説していきます。
「実際に触ってみたい」「小さく試してみたい」という方に最適な内容になりますので、ぜひご期待ください!

👉IT導入のご相談はこちらまで

コメント