中小企業におけるデータ活用:データ活用事例

今回は、データ活用シリーズの第3回目です。これまでの第1回・第2回では、データ活用によって企業の生産性を高める重要性について解説してきました。
本稿では、データ活用をどの分野に適用していくべきかを考えるにあたり、現在どのような分野で活用が進んでいるのかについて整理していきます。

企業におけるデータ活用の全体像

下記の図が示すように、データ活用はバリューチェーン上の殆どのプロセスで行われている
決して一部のIT部門や先進的な部署だけの取り組みではなく、企業のあらゆる業務において、効率化や高度化の基盤となり得るのである。
次の章からはその詳細を各機能に分けて詳しく見ていくことにします。

1.全般管理・人事・調達における活用

企業の基盤となる全般管理領域では、計数(KPI)の可視化や財務分析による経営指標の見える化が行われている。また、業務効率化の観点から、OCRによる請求書データ化や経費精算の自動化、AIによる契約書レビューや不正会計検知などが導入されている。 人事・労務管理においては、人材調達(最適なマッチング)や人事評価へのAI活用、さらには退職を防ぐための離職兆候検知などが行われている。 調達活動では、調達コスト削減や業務効率化を目指し、部品購買業務において自動交渉AIを活用する事例もある。

2.製造・物流・販売・マーケティング(店舗運営・商品計画)

製造現場では、生産ラインの異常検知・監視や、画像解析を用いた検品作業の効率化による品質検査レベルの向上(自動化)が進んでいる。また、生産機器の異常・故障予知や生産パラメータの最適化なども行われている購買物流および出荷物流の領域では、自動発注や適正製造、在庫最適化などが図られている。現場の作業でも、や配送経路の最適化が行われているさらに、店舗運営や商品計画(MD)といった販売・マーケティング領域においては、収益最大化のための最適価格設定(ダイナミックプライシング)や店舗内顧客分析、無人店舗化、接客ロボの導入などが進められている。

3.技術開発・商品開発、販売・マーケティング(営業・販売)、サービス

商品企画や開発、設計、試作といった技術開発・商品開発のプロセスにおいては、「トレンドやニーズの把握」や「商品開発の効率化」といった経営課題を解決するためにデータが活用されている。具体的には、SNSやアンケート、商品情報を駆使した顧客の声分析製品利用傾向解析、さらにはライフスタイル分析を通じて、市場のニーズを的確に捉えた商品開発が行われている。また、商品開発業務の効率化の例として、商品原材料データを活用した飲食・飲料業界における原材料配分レシピ開発や、設計図面データを活用した設計図面の半自動化(検索、提案)などが挙げられる営業やプロモーション活動を担う販売・マーケティング領域では、販売データや顧客データを用いてチャネル別マーケティング投資の最適化(広告効果分析)や商品リコメンド、顧客データ分析支援(セグメンテーションや離反分析、解約予知等)が行われ、販売力強化やLTV最大化に貢献している。 顧客購入後の支援を行うサービス領域では、製品故障データや問い合わせ情報を活用し、問い合わせに対する自動対応や対話型FAQの導入、コールセンターの品質向上により、業務効率化と顧客満足度の向上が図られている。また、製品保守の効率化によって製品メンテナンスコストの削減も実現されている。

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